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2025.04.21

【これがあれば、僕は死なない】大学では学ばなかった、リアルな「生きる力」

「自分にとってのセーフティネットって、何だろう?」

大学時代から、ずっと考えてきたテーマです。 その原点は、大学時代にネパールの農村に3回行ったことにあります。 そこでは、貧困率も高く、識字率も低く、仕事も限られていましたが、 「家族と共に、今日をちゃんと生きていけること」が、何よりも大切にされていました。

お金がなくても、教育が受けられなくても、毎日の食事をみんなで囲み、助け合いながら生きていく。 そこで暮らす現地のお母さんが言っていた「家族でご飯を囲めることが幸せです」という言葉の“強さ”や“安心感”が、今でも心に残っています。

あのとき、「自分にとってのセーフティネットって何だろう?」という問いが、僕の中に生まれました。 それは今でも続いているテーマであり、棚田での暮らしを通して、自分なりの答えを少しずつ探し続けています。

ちなみに、この場においての「セーフティネット」とは、経済的・精神的なリスクに備えて安心感を与える仕組みやつながり、あるいは物事の判断基準になるモノサシのことを指します。 例えば、マイホームがあること、お金、社会的地位、社会保障制度や保険、SNSのフォロワー数、信頼できる人間関係、趣味などがセーフティネットとして機能することがあります。

■自然からのお裾分けで暮らす技術が、“生きていける安心感”をくれた
「これさえあれば、とりあえず死なない」 そんなふうに思える“生きる力”を、僕は上山棚田での暮らしの中で少しずつ身につけてきました。

①食べ物をつくれること=「餓死しない力」
お米が自分でつくれる。 それだけで、どんな状況でも「なんとかなるかもしれない」と思えます。 スーパーが閉まっても、物流が止まっても、自分の田んぼで収穫したお米があれば、家族は飢えることはありません。 これは、どんな立派な資格や技術よりも、僕にとっては安心材料です。 お米は、たとえ素人でも稲を植えることができれば、実りを得られる可能性があります。
稲の育て方や農法、肥料や薬の使い方には人それぞれ考え方があります。 でも大切なのは、今まで土地を守ってきた地主さんへの感謝を忘れず、獣から農地を守り、次世代へ引き継いでいくこと。 それができれば、稲作はきっと続けていけると信じています。

    ②タンパク質を得られる手段がある=「捕まえて、食べる力」
    獣や魚を自分で獲って食べる──大学時代の僕には想像もできませんでした。 ネパールから帰国後、さまざまな地域を訪れ、狩猟に出会いました。 そのとき、千松信也さんの著書『ぼくは猟師になった』を読みました。 罠で鹿やイノシシを捕獲し、自ら捌いて食べること──本を通じてその魅力が伝わり、「自分もやってみたい」と強く思うようになりました。
    今では、狩猟を通じてジビエ(野生肉)を得る技術を学び、「肉は山からいただく」「自分で捕まえる」という選択肢が持てるようになりました。 僕にとっての狩猟は、獣害対策のためでも、社会貢献のためでもありません。 まずは鹿やイノシシを捕まえて食べるというワクワク感や、美味しく食べたいという好奇心を満たす手段です。

      ③火を扱える
      田舎では、電気やガスが使えなくても、木を伐り、薪を割り、火を起こして料理をしたり暖をとったりすることができます。 火を使える環境があることは原始的で、圧倒的な安心感につながります。 薪でご飯を炊く、焚き火で体を温める──それだけで、ほっとすることができます。
      また、僕たちは何度も耕作放棄地の野焼きを経験してきました。 草を刈る、防火帯を作る、風下から火をつけるなど、安全に延焼させないための工夫を重ねてきました。 だからこそ、火の怖さも知っていて、火を扱う際の危機感は人一倍持っているつもりです。最近は消防団活動を前よりしているので余計に火事で皆さんに迷惑をかけてはいけない思いが強まっています。余談ですが、もし火事になれば消防団20-30人が半日かけて時間を費やして消火活動や見守りに来てくれます、しかも皆さん自営業などの方が多く集まることになってしまい、とても申し訳ないことです。

        ④棚田には、“そもそも暮らしが続いてきた条件”がそろっている
        地震が少なく、気候が安定し、人力でも農業や水の管理ができる場所。 そんな場所が、実際にあるのだと、暮らしてみて気づきました。
        上山の棚田は、何百年も前から人々が自然と折り合いをつけながら暮らしてきた場所です。 「ここでなら生きていける」と思わせてくれる──それは、長い歴史の中で積み上げられた信頼なのだと思います。この地域では、1000年以上ものあいだ、お米がつくられてきました。 これからも、100年は続けていける素地があると感じています。
        圃場整備された大規模農地は、水路や取水口、ポンプも完備されていてとても効率的ですが、そのぶん維持や更新には大きな費用がかかると、知人の農家から聞きました。 一方で、非効率的な棚田では、小さな穴があれば、石と草の根付きの土を詰めて埋めることもできます。
        この長年守られてきた水路や農地を、現代の技術と話し合い掛け合わせながら次世代へ繋いでいくことに、大きな魅力を感じています。

          ■まちの暮らしでは切り捨ててきた“手間”や“技術”にこそ、本当の安心がある
          もちろん、町には町の便利さや楽しさがあります。 しかし、お金や便利さ・テクノロジーに頼りきった暮らしで、物事や食べるものの前後の関係性を考えない暮らしに疑問をもつことはありますか?
          棚田での暮らしで得ているものは、どれも手間がかかり、泥にまみれ、お金に直結するわけでもないものが多いです。 でも、それらは間違いなく“自分や家族の命を支えてくれる力”になっています。

          ■「生きる力」をひとつずつ積み重ねていける場所が、ここにある
          だからこそ、僕は棚田に暮らしの拠点をつくっていくことに意味があると思っています。
          ここには、自然の恵みだけでなく、昔から受け継がれてきた知恵や技術があります。 世の中がどんなに変わっても、「これがあれば、生きていける」と言える自分でいられるようにしていきます。
          そんな思いで、今年も草を刈り、お米をつくり、土に触れています。 そして、この技術や思いを子どもたちにも伝えていきたい。 どこでも生きていける、頼りにされる人になってほしいと願っています。

          ■最後に、あなたに聞いてみたいこと
          僕にとってのセーフティネットは、米を育て、火を焚き、自然の中で暮らす技術かもしれません。 でも、それは人それぞれ違っていて良いはずです。だからこそ、読んでいただいた方にも聞いてみたいです。 「あなたにとってのセーフティネットは何ですか?」

          僕が大学のときにネパールで出会った人たちのように、「今」を支えてくれるものあること。
          それがどんな形でもいいから、ひとつでも見つかっていれば、生きていく上で大きな支えになるのではないでしょうか。

          もしよろしければ、こっそりコメントでも何でも構いません。これを読んだ感想でもなんでも教えてください。 みなさんのいいねとコメントが、僕にとっては次のブログを書く力になっています(笑)

          今日4月22日は苗づくり@大芦で60枚(3反用)の苗をつくりました。
          それはまた書きます。

          あなたの「やってみたい!」を一緒にチャレンジ出来たら!
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